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不正輸出えん罪事件 警察官が証言”決定権 持つ人の欲で立件”
NHK
| Oktober 9, 2024
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【逮捕】
2020年3月、横浜市の化学機械メーカー「大川原化工機」の大川原正明社長、海外営業担当の取締役だった島田順司さん、それに顧問だった相嶋静夫さんの3人が警視庁公安部に逮捕されました。
2020年3月、横浜市の化学機械メーカー「大川原化工機」の大川原正明社長、海外営業担当の取締役だった島田順司さん、それに顧問だった相嶋静夫さんの3人が警視庁公安部に逮捕されました。
会社の主力商品だった「噴霧乾燥機」を国の許可を受けずに中国に不正に輸出したという容疑でした。
この機械は熱風で液体を急速に乾燥させて粉状に加工するもので、医薬品やインスタントコーヒー、粉ミルクなどの製造に使われますが、生物兵器の製造など軍事目的に転用されるおそれがあるとして、輸出規制の対象にあたるとされました。
3人は「生物兵器を作ることはできず、規制の対象にあたらない」と無罪を主張しましたが、その結果、大川原社長と島田さんは「口裏合わせをする疑いがある」などとして1年近く勾留され、会社の顧問だった相嶋さんは勾留中にがんが見つかっても保釈が認められず、無実が証明される前に亡くなりました。
【起訴取り消し】
その後、起訴された後の再捜査で機械が規制の対象にあたらない可能性が浮上し、検察は初公判を4日後に控えた2021年7月、一転して起訴を取り消すという異例の対応を取りました。
その後、起訴された後の再捜査で機械が規制の対象にあたらない可能性が浮上し、検察は初公判を4日後に控えた2021年7月、一転して起訴を取り消すという異例の対応を取りました。
起訴の取り消しを受けて東京地方裁判所は「仮に起訴された内容で審理が続いても無罪だった」として、大川原社長などに対し逮捕・勾留されていた期間の刑事補償としてあわせて1100万円余りの支払いを決定しました。
【民事訴訟】
大川原社長と島田さん、それに相嶋さんの遺族は「不当な捜査で逮捕・起訴された」として国と東京都を訴える裁判を東京地方裁判所に起こしました。
大川原社長と島田さん、それに相嶋さんの遺族は「不当な捜査で逮捕・起訴された」として国と東京都を訴える裁判を東京地方裁判所に起こしました。
1審では、警視庁公安部で捜査に携わった現職の警察官が証人として出廷し事件について「まあ、ねつ造ですね」と証言したうえで「輸出自体は問題なく立件しなければならないような卑劣な客観的事実があったわけではないのに、捜査幹部の個人的な欲から立件していくことになったのではないか」と述べました。
また別の警察官も、メーカーの複数の従業員から機械の内部に温度が上がりづらい箇所があると指摘を受けたため追加で温度測定を行うよう上司に進言したことを明かし、「従業員の言い訳だ。信じる必要はない」と言われたと証言しました。
この警察官は「捜査幹部がマイナス証拠もちゃんと反証していればこういうことは起きなかったと思う」と述べました。
【1審判決】
去年12月、東京地方裁判所は「検察と警視庁の捜査は違法だった」として国と都にあわせて1億6200万円余りの賠償を命じる判決を言い渡しました。
去年12月、東京地方裁判所は「検察と警視庁の捜査は違法だった」として国と都にあわせて1億6200万円余りの賠償を命じる判決を言い渡しました。
判決では警視庁公安部が大川原化工機の製品を輸出規制の対象だと判断し、逮捕に踏み切ったことなどについて「根拠に欠けていた」と指摘したほか、違法な取り調べがあったことも認定しました。
また検察についても「必要な捜査を尽くすことなく起訴をした」として違法だったと指摘しました。
一方、「ねつ造」と話した警察官の証言には触れませんでした。
この判決について、国と都、メーカーのそれぞれが控訴しました。
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